いくつかのインターナショナルスクールを見比べてみても、どこが良いのか決め切れずに迷ってしまう方はとても多いです。
学校ごとの差が大きく、どこを基準に選べばいいのか分からなくなるのは当然のことです。
インター選びで大切なのは、「人気校」や「英語環境が良さそう」という印象だけで判断しないこと。
家庭の価値観や子どもの性格と合っているかを丁寧に確認していくことで、のびのびと過ごせる学校が見つかります。
この記事では、後悔しないために親がチェックすべき10項目を整理しました。これから学校見学に行く方にも、すでに候補が絞れている方にも役立つ内容です。
インターナショナルスクール選びで大切なこと
インターナショナルスクールは、同じ「インター」と呼ばれていても、教育理念・カリキュラム・先生の雰囲気・通学スタイルなどが学校ごとに大きく異なります。そのため、学校のブランドや人気だけで決めてしまうと、入学後に「なんとなく合わない…」という違和感につながることもあります。
子どもがどんな環境で伸びるタイプなのかを知る
まず大切なのは、子どもがどんな環境でいちばん安心して力を発揮できるタイプなのかを知ることです。
- 静かにコツコツ取り組むのが好き
- 質問して深く考えるのが好き
- 体を動かしたり、人と話したりするのが好き
インターナショナルスクールでは、こうしたタイプの違いが、教育法との相性にそのままつながります。
- コツコツ集中するタイプ→モンテッソーリ的な環境と相性が良い
- 調べたり考えたりするのが好き→IBの探究型と合いやすい
- 活発・社交的で話すのが好き→アメリカ式の表現中心の学びとフィットしやすい
学校に子どもを合わせるのではなく、子どもに合う環境を探すという発想が、インター選びではとても大切です。
英語力より大切なのは「適応力」と「サポート体制」
インターナショナルスクールというと「英語力」が真っ先に気になりがちですが、学校側が本当に見ているのは次のような点です。
- 学校生活に適応していけそうか
- 先生の指示を理解しようとする姿勢があるか
- 家庭と学校が協力して子どもを支えられそうか
英語はゼロスタートでも、EALなどのサポートが整っていれば、入学後に伸びていくケースが多くあります。一方で、英語以外の部分で負担がかかることもあります。
- 自由度が高すぎて、何をしてよいか戸惑う
- 競争的な雰囲気がプレッシャーになる
- クラスのテンポが速く、ついていけないと感じる
こうした「心の負担」が大きくなりすぎないよう、子どものタイプに合う学校かどうかを見ていくことが大切です。
親の価値観と学校の理念が合っているか
インターナショナルスクールは、学校ごとに教育理念がはっきりしています。理念はパンフレットに書かれているだけでなく、授業のスタイルや先生の声かけにも表れます。
- 「子ども主体」「自主性」を大切にする学校
- 「挑戦」「表現」を重視する学校
- 「思いやり」「多様性」を軸にしている学校
家庭の価値観と学校の理念が合っていると、宿題・行事・学校の方針に対しても納得感を持ちやすくなります。逆にズレが大きいと、「もっとしっかり指導してほしい」「うちはそこまで自由を求めていない」など、違和感につながることがあります。
通学距離・生活リズムは想像以上に大事
インターは授業時間が長かったり、行事・アフタースクールが多かったりする学校も少なくありません。そのため、通学時間が長いと次のような影響が出やすくなります。
- 子どもが疲れて、放課後にエネルギーが残っていない
- 宿題や習い事との両立が難しくなる
- 家族全体の生活リズムがくずれやすい
「学校がとても良いから多少遠くても…」と考えたくなりますが、毎日の通学負担は想像以上に大きいものです。長く通うことを考えると、無理のない距離かどうかを慎重に見ておくことが大切です。
“その学校の空気”が子どもに合うかどうか
学校見学やオープンハウスに行くと、写真やパンフレットでは分からない「空気感」が見えてきます。
- 子どもたちの表情がいきいきしているか
- 先生の声かけが穏やかで温かいか
- 教室や廊下が整理されていて安心感があるか
- うるさすぎず、静かすぎない、心地よい雰囲気か
迷ったときは、「うちの子が毎日ここに通う姿をイメージできるか」を基準にしてみると、後悔の少ない選択につながります。
「長く通い続けられるか」も大切な視点
インターナショナルスクールは、学費や生活スタイルの変化、子どもの成長などにより、途中で環境を変える家庭も少なくありません。そのため、最初から次のような点も見ておくと安心です。
- 学費や通学コストを含めて、数年間無理なく通えるか
- スクールバスやサポート体制が安定しているか
- 学校の運営が安定していそうか(生徒数や情報発信の頻度など)
「今だけ」ではなく、「数年後のわが家の姿」をイメージしてみると、選び方の視点がクリアになってきます。
親がチェックすべき10項目
ここからは、学校見学や説明会のときに、親が意識して見ておきたい10のポイントを詳しく見ていきます。
① カリキュラム(IB・アメリカ式・モンテッソーリなど)
インターナショナルスクール選びで最初にチェックしたいのが、どのカリキュラムを採用しているかです。これは、子どもが毎日どんな学び方をするのかに直結します。
- IB(国際バカロレア):探究型。自分で調べ、考え、発表する学びが多い
- アメリカ式:表現・協働が多い。プロジェクト学習やプレゼンが多め
- モンテッソーリ:自主性中心。自分のペースで教具に取り組むスタイル
大切なのは、「うちの子の学び方のタイプ」と合っているかどうかです。
- 一人でじっくり集中するのが好き→モンテッソーリ的環境
- 質問したり、自分で調べるのが好き→IBスタイル
- 人と話すのが好き・発表が苦にならない→アメリカ式
カリキュラムは学校の「性格」のようなものなので、ここが合うと、子どもは学校生活を前向きに楽しみやすくなります。
② 教育理念と学校の方針
学校の教育理念は、その学校が何を大切にして子どもと向き合っているかを示すものです。説明会やパンフレットに書かれている言葉を読むだけでなく、実際の授業や先生の雰囲気からも感じ取ることができます。
- 「子ども主体」「自立」を重んじているか
- 「挑戦」「表現」を強く打ち出しているか
- 「思いやり」「多様性」「協働」を重視しているか
家庭の価値観と理念が近いほど、宿題の方針や学校生活のルールに対しても納得感をもって関わることができます。逆に、「うちはもっときっちりしてほしい」「そこまで自由でなくていい」と感じる場合は、長期的なミスマッチにつながる可能性があります。
③ 英語サポート(EAL/ESL)の有無・質
英語が母語でない子どもにとって、英語サポートの有無と質はとても重要です。EAL(English as an Additional Language)やESL(English as a Second Language)の体制を必ず確認しましょう。
- 週に何時間程度、英語サポートの授業があるのか
- 1クラスあたりの人数(少人数の方が手厚い傾向)
- どの学年まで受けられるのか
- 通常クラスとの行き来がどのように行われるのか
英語がゼロスタートでも、EALがしっかりしている学校であれば、子どもは時間をかけながら着実に慣れていきます。「英語力そのもの」より、「英語を伸ばすための仕組み」があるかどうかがポイントです。
④ 教師の質・コミュニケーションの取りやすさ
子どもにとって、毎日接する先生の存在はとても大きいものです。学校見学の際は、先生の雰囲気や保護者への対応もよく見ておきたいポイントです。
- 子どもに対して穏やかで温かい声かけをしているか
- クラスの雰囲気を落ち着かせ、安心させようとする姿勢があるか
- 保護者への説明が分かりやすく、質問に丁寧に答えてくれるか
- 連絡方法(メール・アプリなど)や返信スピードが明確か
先生とのコミュニケーションがとりやすい学校ほど、困ったときも相談しやすく、子どもの変化にも気づいてもらいやすくなります。
⑤ 学校の雰囲気(子どもが安心して過ごせるか)
学校全体の雰囲気は、子どもが毎日をどう感じるかに直結します。見学時は、設備のきれいさだけでなく、「そこにいる子どもたちの様子」をよく観察してみましょう。
- 教室や廊下で子どもたちが自然な表情で過ごしているか
- 先生が子どもに優しく、しかし落ち着いて対応しているか
- 教室が整理整頓されていて、安心感がある空間か
- にぎやかさ・静かさのバランスが、わが子に合いそうか
「うちの子、この空間にいるのが気持ちよさそうだな」と感じられる学校は、相性が良いサインです。
⑥ 学費・追加費用・通学コスト
インターナショナルスクールは、学費以外にもさまざまな費用が発生します。年間トータルでどのくらいになるのかを、なるべく具体的にイメージしておきましょう。
- 入学金・授業料・施設費
- スクールバス代・給食費
- 制服・体操服・教材費
- 行事費・寄付金・課外活動費
- 通学にかかる交通費や時間コスト
数年間通うことを考えると、「頑張ればなんとか…」ではなく、無理なく継続できるかどうかが大切なポイントになります。
⑦ 通学距離・スクールバスの充実度
どんなに魅力的な学校でも、通学が負担になりすぎると、子どもも保護者も疲れてしまいます。毎日の通学ルートや時間もしっかり確認しておきましょう。
- 家から学校(またはバス停)までの所要時間
- 朝夕の渋滞状況や電車の混雑具合
- スクールバスのルート・本数・停留所の位置
- 雨の日や真夏でも無理なく通えるか
通学時間が短くなるほど、子どもにとっては「遊ぶ時間」「家族と過ごす時間」「休息の時間」が増えます。生活全体を考えたときのバランスを大切にしたいポイントです。
⑧ 校舎・設備・セキュリティ
子どもが一日の大半を過ごす場所だからこそ、校舎や設備の安全性・使いやすさも重要です。
- 校門や受付にセキュリティチェックがあるか
- 外部から簡単に敷地に入れない仕組みになっているか
- 図書館・体育館・運動場がどの程度充実しているか
- ICT環境(パソコンやタブレット等)の整備状況
- 教室の明るさや換気、清潔さ
最新設備がすべて揃っている必要はありませんが、安全で安心できる環境であるかどうかはしっかりチェックしておきたいところです。
⑨ 保護者コミュニティ・多様性
インターナショナルスクールでは、保護者同士の距離感やコミュニティの雰囲気が学校によって大きく異なります。見学や説明会で、保護者の雰囲気にも少し目を向けてみると安心です。
- 多国籍の家庭が多く、価値観に多様性があるか
- 保護者同士がオープンでフレンドリーか
- 過度にクローズドなママ友グループになっていないか
- 保護者会やボランティア活動への参加がどれくらい求められるか
家庭にとって無理のないコミュニティであれば、学校とのつながりも前向きに楽しむことができます。
⑩ 卒業後の進路・転校のしやすさ
今の学年だけでなく、数年先の進路も視野に入れておくと、学校選びに迷いにくくなります。
- 同じ系列校やIB校などへの進学がしやすいか
- 日本の小学校・中学校への編入実績があるか
- 海外の学校や大学への進学にも対応しているか
- 転校やコース変更について、学校が柔軟に対応してくれる姿勢があるか
必ずしもすべてを決めておく必要はありませんが、「もし将来こうなったら?」と少しイメージしておくことで、選び方の軸がぶれにくくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 英語力が足りなくても入学できますか?
多くのインターナショナルスクールでは、幼児〜低学年であれば英語初心者の受け入れに慣れており、EALなどのサポートを用意しています。ただ、入学直後は「聞き取りの負荷」や「伝えたいのに言葉が出ないもどかしさ」など、一時的なストレスを感じることもあります。
大切なのは、
- 学校に英語サポート体制があるか
- 先生が子どもの気持ちに寄り添ってくれるか
- 家庭で日本語や母語で安心して気持ちを話せる場があるか
という点です。英語力そのものより、「慣れるまでをどう支えるか」の方が大きなポイントになります。
Q2. 途中入学(転校)は難しいですか?
途中入学の難しさは、学年や学校の方針、英語サポートの有無によって変わります。
- 幼児〜低学年:比較的入りやすい
- 小学3・4年:基礎英語力があるとスムーズ。サポートが重要
- 小学5年〜中学生:教科学習の英語レベルが上がるため、学校選びがより慎重に
ただし、英語初心者の途中入学でも、EALや個別サポートが充実している学校であれば、ゆっくりと慣れていくことができます。気になる学校がある場合は、「この学年からの途中入学の実績」を直接聞いてみると具体的なイメージがつかみやすくなります。
Q3. 英語初心者の子どもがストレスを感じないか心配です。
英語が分からない環境に入ると、多かれ少なかれストレスは感じます。ただ、それは「悪いストレス」だけではなく、新しい言語環境に適応していくための自然なプロセスでもあります。
子どもの負担を軽くするために、次のような点を確認しておくと安心です。
- 困ったときに日本語(または母語)で気持ちを伝えられる先生やスタッフがいるか
- クラスメイトや先生が新入生をサポートする文化があるか
- 家庭で安心して「今日こんなことがあった」と話せる雰囲気があるか
ストレスをゼロにすることはできませんが、「不安を一人で抱え込ませない」ことが何より大切です。
Q4. 有名校=良い学校、なのでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。人気の高い学校は、教育プログラムや進学実績が優れている一方で、次のような特徴がある場合もあります。
- 学習ペースが速く、ついていくのが大変
- 宿題量や課題が多く、家庭の負担も増えやすい
- 競争的な雰囲気があり、合う子と合わない子がはっきり分かれる
インター選びで大切なのは、「世間的な評価」ではなく「わが子との相性」です。どれだけ人気校でも、子どもが毎日不安そうに通っているようでは本末転倒になってしまいます。
Q5. インターに通うと日本語力が下がるって本当ですか?
学校が英語環境であっても、家庭で日本語の会話や読書の時間を大切にしていれば、日本語力が極端に落ちることはありません。
- 家では日本語でたっぷり話す
- 日本語の絵本や物語にふれる時間を作る
- 子どもの気持ち・考えを日本語でじっくり聞く
これらを意識することで、むしろ日本語の土台がしっかりし、そのうえに英語が積み重なっていきます。日本語力の不安がある場合は、家庭での言語環境のバランスを意識してみるとよいでしょう。
Q6. 学校見学では何を見ればいいですか?
学校見学では、設備だけでなく「そこで過ごしている子どもたちの様子」「先生の雰囲気」をよく見ることが大切です。
- 子どもたちの表情がいきいきしているか
- 先生の声かけが優しく、安心感があるか
- 教室や廊下が整っていて、落ち着いた空気があるか
- 自分や子どもがその場に立ってみて、ホッとできる感覚があるか
理屈だけでなく、「ここなら通わせても大丈夫だな」と感じられる直感も、意外と大事な判断材料になります。
Q7. 英語以外の教科はどんなふうに学ぶの?
インターナショナルスクールでは、英語以外の教科も基本的に英語で学びます。ただし、「英語で学ぶ」=「座学で教科書を読む」ではありません。
- 理科:実験を通して、体験から学ぶ
- 社会:プロジェクトやプレゼンを通じて、調べたことを表現する
- 数学:問題解決や対話を通じて考え方を身につける
- アート:作品づくりや発表を通して自己表現をする
教科ごとの枠を越えて学ぶことも多く、「学びが生活とつながっている」と感じやすいのが特徴です。
Q8. 学習面でついていけない場合のフォローはありますか?
学校によって差はありますが、次のようなサポートがある学校も多いです。
- EALでの言語サポート
- リーディングや書く力に特化したサポート
- 学習支援(Learning Support)の先生による個別フォロー
- 放課後の宿題サポートプログラム
- 担任との定期的な面談
見学時には、「つまずいた子にどのようなサポートをしているか」を具体的に聞いてみると、その学校の姿勢が見えてきます。
Q9. インターに通うと将来の進路はどうなりますか?
インターナショナルスクールに通うことで、選べる進路はむしろ広がることが多いです。
- 日本国内の中学・高校・大学
- 海外の中学・高校・大学
- IB校や他のインターナショナルスクールへの進学
日本の大学も、海外校やIBなど多様なバックグラウンドを持つ生徒の受け入れを広げてきています。将来の進路については、「日本の学校に戻れるか?」だけではなく、「選択肢を増やす」という視点で考えてみるのも一つの考え方です。
Q10. 兄弟で別々の学校を選ぶのはアリですか?
兄弟姉妹で別々の学校を選ぶことは、まったく問題ありません。むしろ、性格や得意なことが違う兄弟には、それぞれに合う環境を選ぶのが理にかなっている場合もあります。
ただし、
- 通学スケジュールが複雑にならないか
- 学費や時間的負担が無理のない範囲に収まるか
- 保護者会や行事が重なりすぎないか
といった点は、あらかじめイメージしておくと安心です。「全員同じ学校でなければいけない」という決まりはありませんので、一人ひとりに合う選択をしていくイメージで大丈夫です。
家庭の価値観と子どもの特性を優先しよう
インターナショナルスクールは、学校ごとに「教育スタイル」「雰囲気」「サポート体制」が大きく違う世界です。だからこそ、人気やイメージだけで決めるのではなく、
- 子どものタイプとの相性
- 親の価値観と学校理念の一致
- 英語サポートや学習支援の仕組み
- 通学距離や生活リズム
- 長く通い続けられるかどうか
といったポイントを、一つずつ丁寧に見ていくことが大切です。
インター選びは、「完璧な学校」を探す旅ではなく、「わが子にとって、いちばん安心して伸びていける場所」を探す旅です。迷ったときは、学校にいるときの子どもの表情や、親自身が抱く安心感を、最後の決め手にしてあげてください。

