英語の読み学習を始めたものの、「なかなか読めるようにならない…」と感じている保護者の方は少なくありません。日本語とは文字と言葉の仕組みがまったく違うため、子どもがつまずきやすいのはごく自然なことです。
英語を読む力をつけるためには、フォニックス(音と文字のルール)と、サイトワード(見たまま覚える頻出単語)の両方が必要になります。
この記事では、それぞれの役割や年齢別の進め方、家庭での教材選びのポイントをわかりやすくまとめました。小さな「読めた!」を積み重ねながら、英語が好きになる土台を一緒につくっていきましょう。
なぜ子どもは「英語が読めない」と感じるのか
英語は、日本語のひらがな・カタカナと比べてルールが複雑です。大人から見ると簡単そうに見える単語でも、子どもにとってはハードルが高いことがよくあります。
よくあるつまずきは、次のようなものです。
- アルファベットの「名前」は知っているが、「音」が分からない
- 読めても意味と結びつかず、ただ音を追っているだけになる
- 例外が多く、「なんでこう読むの?」と感じて混乱する
- 読めない体験が続き、自信をなくしてしまう
英語の読み書きは、
- 音(リスニング)
- 文字(フォニックス)
- 単語・フレーズ
- 文・文章
という階段をのぼるイメージで身についていきます。どこか一段が抜けていると、「がんばっているのに読めない…」という状態になりやすいのです。
フォニックスとは?読み書きの土台になる理由
フォニックス(Phonics)とは、英語の文字や綴りと、その「音」の関係を学ぶルールのことです。
たとえば、
- アルファベットの A は「エイ」だけでなく、短い「ア」という音にもなる
- cat は「シー・エイ・ティー」と読むのではなく、「c・a・t の音」をつなげて読む
といったように、「文字=記号」と「音」のつながりを学んでいきます。
フォニックスが必要な理由
フォニックスを学ぶと、次のような力が育っていきます。
- 初めて見る単語でも、音を手がかりに読めるようになる
- 音と綴りがつながることで、スペルも覚えやすくなる
- 「なんとなく読んでいる」状態から、「仕組みを理解して読める」状態に近づく
特に、
- cat / dog / hat / pen などの、CVC(子音・母音・子音)パターンの単語
- sun / bed / pig のような短い単語
は、フォニックスを使って読めるようになりやすい単語です。「自分で読めた!」という成功体験を作るのにぴったりの題材になります。
フォニックスで読めるようになる語の特徴
フォニックスのルールがよく効くのは、次のような単語です。
- 素直に綴りどおり読める単語(cat, map, sit など)
- 規則的な母音のパターン(cake, bike, note など)
- bl, st, tr などの子音の組み合わせが比較的シンプルな語
逆に、one や two、said、was のような単語は、フォニックスだけでは読みづらく、「サイトワード」として丸ごと覚える必要が出てきます。
フォニックス教材を選ぶときのチェックポイント
フォニックス教材を選ぶときは、次のポイントを意識すると失敗しにくくなります。
- ステップが細かく分かれているか
アルファベットの音 → 短母音 → 子音の組み合わせ → 長母音…というように、少しずつレベルアップできる構成かどうか。 - 音声つきかどうか
CD・音声データ・アプリ・動画など、正しい発音を耳で確認できる仕組みがあると安心です。 - 短く・反復しやすい内容か
1回の学習が長すぎると、家庭学習では続きにくくなります。 - 子どもが楽しめる工夫があるか
イラスト・ゲーム・歌など、「やってみたい」と思える要素も大切です。
サイトワードとは?フォニックスだけでは読めない理由
サイトワード(sight words)とは、「見た瞬間に読めるように丸ごと覚えてしまう単語」のことです。
英語には、
- the / you / come / said / was
- one / two / does / put など
フォニックスのルールだけでは読みにくい、例外的な単語がたくさんあります。こうした単語を一つひとつ解読していると、文を読むテンポが悪くなり、内容理解までたどり着きにくくなってしまいます。
なぜサイトワードが必要なのか
サイトワードには、次のような役割があります。
- 頻出する単語を丸ごと覚えることで、読むスピードを上げる
- 文の骨組みを素早く認識できるようにする
(例:I am ○○ / This is ○○ / You are ○○) - 読めないところで立ち止まる回数を減らし、「読めた!」という感覚を増やす
フォニックスが「ルール」だとすると、サイトワードは「よく出てくる例外」とも言えます。両方をバランスよく取り入れることで、読書のストレスを減らすことができます。
年齢に合わせたサイトワードの量
サイトワードをどれくらい覚えればよいかは、お子さんの年齢や学習状況によって変わりますが、目安としては次のように考えると安心です。
- 3〜5歳:まずは10〜20語ほど。絵本や歌の中で自然に触れる程度でOK。
- 6〜8歳:50〜100語を目標に。簡単な英文がスラスラ読める単語数です。
- 9歳〜:読書量を増やしながら、出てきた単語を少しずつサイトワードとして定着させていくイメージ。
一気に覚えさせるよりも、実際の絵本やテキストの中で何度も出てきた単語を「特別扱い」していく方が、定着しやすくなります。
フォニックス×サイトワードの最適な進め方(年齢別)
3〜5歳:音遊び → 初級フォニックス+少しのサイトワード
この時期は、「勉強」よりも音遊びの感覚で進めるのがおすすめです。
- アルファベットの音(フォニックスサウンド)に触れる
- cat / dog / sun など、短い単語を少しだけ読む経験をさせる
- the / I / you など、本当に基本的なサイトワードを10〜20語ほど知っておく
完全に正確に読めなくても大丈夫です。「英語の文字=音があるんだな」くらいの感覚を育てることが第一歩になります。
6〜8歳:フォニックス応用 → サイトワードの数を増やす時期
小学生に入る頃からは、フォニックスの内容を少しずつレベルアップしていきます。
- a_e, i_e, o_e などのマジックe(長母音)のパターン
- ai, ee, oa などの二重母音・母音の組み合わせ
- st, br, cl などの子音の組み合わせ
同時に、
- 文の中で何度も出てくるサイトワードを少しずつ追加する
- 簡単なストーリーリーディングに挑戦する
といった学習を組み合わせることで、「読める単語の幅」と「読むスピード」の両方を伸ばしていけます。
9歳〜:読書量で「読める感覚」を育てる
高学年になると、ある程度フォニックスとサイトワードが頭に入ってきます。ここからは、実際に読む量を増やすことが何よりも大切です。
- レベル別リーダー(多読用の薄い本)を使って、1冊を短時間で読み切る経験を増やす
- 内容がわかるシリーズ物を見つけて、楽しみながら読む習慣を作る
- 分からない単語があっても、全部調べずに「だいたい」で読み進める力を育てる
フォニックスとサイトワードは、あくまで「読むための道具」です。ある程度身についたら、「本を読む時間」そのものを増やしていくステージに進みましょう。
フォニックス・サイトワードにおすすめの教材
ここでは、家庭で使いやすい定番教材をいくつかご紹介します。
フォニックス教材
- Oxford Phonics World
イラストが多く、ステップも細かいため、初めてフォニックスに触れるお子さんにも向いています。音声も聞き取りやすく、家庭学習との相性がよい教材です。 - Jolly Phonics
歌やジェスチャーを使って音を覚えるスタイル。身体を動かすのが好きなお子さんにぴったりです。 - Hooked on Phonics
アプリとワークブックが連動しており、ゲーム感覚で進められます。短時間でもこまめに取り組みやすい構成です。 - Bob Books
CVC単語を中心にした超シンプルな絵本セット。「自分で読めた!」を実感しやすいシリーズです。
サイトワード教材
- Sight Word Readers
1冊ごとに特定のサイトワードにフォーカスした絵本セット。とても短く、読み切りやすいのが特徴です。 - 学年別のサイトワードワーク
Scholastic など、学年ごとに頻出単語を整理したワークブックも便利です。書く練習をしたいお子さんに向いています。
アプリ・オンライン教材
- Starfall
フォニックス・簡単な読書・ゲームがまとまっているサイト/アプリ。カラフルで分かりやすく、幼児〜小学生まで幅広く使えます。 - Reading Eggs
レベル診断からスタートし、フォニックスとリーディングを総合的に学べるプログラムです。 - Epic!
英語絵本読み放題サービス。フォニックスやサイトワードを学びつつ、実際の本をたくさん読むステップに進むときに役立ちます。
家庭での読み練習をスムーズにするコツ
毎日5分だけでもOKと考える
英語の読みは、「一気に」よりも「少しずつ、何度も」の方が定着しやすい分野です。
- 1日5分〜10分の短い時間を続ける
- 疲れていそうな日は、音を聞くだけ・一緒になぞるだけで終わらせる
- 完璧に読ませるよりも、「英語の本を開く時間」があることを大切にする
「読めた!」を必ず言葉にして伝える
小さな成功体験こそ、子どもの「またやってみよう」という気持ちを支えてくれます。
- 「いま自分で読めたね!」
- 「この単語、前より早く読めたよ!」
- 「その発音、すごくきれいだったよ」
など、できた瞬間を逃さずに褒めることがポイントです。
間違いの指摘はやさしく、問いかけスタイルで
読み間違いがあったときは、
- ×「ちがうよ、もう一回!」
- 〇「ここの音、なんだっけ?一緒に思い出してみようか」
というように、責めるのではなく一緒に考えるスタイルで関わると安心してチャレンジできます。
フォニックスとサイトワードは、どちらも「英語を読む力」を支える大事なパーツです。お子さんの様子を見ながら、負担にならないペースで取り入れていきましょう。

