インターナショナルスクールへの進学を考え始めると、ワクワクする気持ちと同時に「本当にうちの子に合うのかな?」「メリットばかりでなくデメリットも知っておきたい」という不安も出てきます。英語が身につくイメージはあるものの、実際のところはどうなのか、なかなか全体像が見えにくいですよね。
インターにはたくさんの魅力がある一方で、日本語や学費、受験との相性など、事前に知っておきたいポイントもいくつかあります。大切なのは、「インターが良いか悪いか」ではなく、“わが家の教育方針やお子さんの性格に合っているかどうか”を冷静に見ていくことです。
この記事では、インターナショナルスクールのメリットとデメリットを、保護者目線でやさしく整理してご紹介します。これから検討する際の、ひとつの判断材料として役立てていただけたらうれしいです。
インターナショナルスクールとは?まず押さえたい基本
一口に「インターナショナルスクール」と言っても、その中身はさまざまです。大きく分けると、次のようなタイプがあります。
- 幼児向けのプリスクール(英語の幼稚園)
- 幼稚園〜高校まで続くK–12型インターナショナルスクール
- 日本の学校教育法に基づいた1条校系バイリンガルスクール
どのタイプにも共通しているのは、次のような家庭の思いです。
- 子どもの英語力を伸ばしたい
- 将来の選択肢を広げたい(海外進学・海外生活など)
- 多様性や国際感覚のある環境で育ってほしい
その一方で、インターの種類によって、学費・カリキュラム・日本語の扱い・卒業後の進路などが大きく変わります。「インター」とひとまとめに考えず、種類を意識して情報を集めていくことが大切です。
インターに入れると本当に英語が身につく?最初に知っておきたい現実
よくある「英語ペラペラ」イメージとのギャップ
「インターに入れたら、自然に英語ペラペラになるんですよね?」というイメージを持つ保護者の方は少なくありません。確かに、英語環境で毎日過ごすことで、英語への抵抗感は小さくなり、聞き取りや簡単な会話は早い段階で身についていきます。
ただ、“インターに通う=自動的にバイリンガルになる”わけではありません。伸び方には個人差があり、次のような要素が大きく影響します。
- 家庭でも英語に触れる時間があるかどうか
- 日本語・英語の両方を大切にする環境が整っているか
- お子さんの性格(積極的に話すタイプか、慎重に観察するタイプか)
英語力は、学校だけでなく家庭との連携で育っていく、というイメージを持っておくとギャップが少なくなります。
本当に育ちやすいのは「学び方そのもの」
インターの大きな特徴は、英語そのものだけでなく、学び方や考え方が変わるところにあります。
- 自分の意見を言葉にして伝える力
- 情報を調べてまとめる力
- 異なる価値観を理解しようとする姿勢
こうした力は、英語を使って学ぶ環境だからこそ育ちやすいスキルです。「英語だけ」ではなく、「英語を通してどんな力が育つのか」に目を向けると、インターの本当のメリットが見えやすくなります。
インターナショナルスクールのメリット
英語のまま理解できる力(自然習得)が育つ
インターの最大の魅力は、生活と言語が結びついていることです。毎日の授業・遊び・先生とのやりとりが英語なので、「英語を訳して理解する」のではなく、英語のまま意味をつかむ感覚が育っていきます。
- 幼児〜低学年は音やリズムの吸収がとても早い
- 英語を“勉強”ではなく“生活の一部”として身につけやすい
この時期に英語に慣れておくと、将来ほかの言語を学ぶときのハードルも下がりやすくなります。
多国籍な友達との関わりで「違いを尊重する感覚」が育つ
インターには、国籍も文化背景もさまざまな子どもたちが集まります。そのため、
- 自分と違う考え方や習慣に自然に触れる
- 「違っていて当たり前」という空気の中で育つ
- 人と比べすぎず、自分らしさを大切にしやすい
といった、多様性を受け止める感覚が育ちやすくなります。
背景がバラバラだからこそ、「みんな同じでなければいけない」というプレッシャーが少なく、安心して過ごせると感じるお子さんも多いです。
探究型・対話型の学習で「主体性」が育つ
IB(国際バカロレア)やIPCなどの国際カリキュラムでは、正解を覚えるよりも、自分で考え、調べ、意見を持つことが重視されます。
- 「どう思う?」「なぜそう考えたの?」と質問される授業
- 調べたことを友だちの前で発表する機会が多い
- グループで話し合ってプロジェクトを進める
こうした日常の積み重ねによって、発言する力・表現する力・協働する力が自然と育っていきます。
のびのび学べる環境でストレスが少ない
多くのインターは、「子どもが楽しく安心して学べること」をとても大切にしています。
- テストや点数だけで評価しない学校が多い
- できない部分よりも、できている部分を認めてくれる
- 個性や興味を尊重する雰囲気がある
日本の「みんなと同じでいなきゃ」という空気が苦手なお子さんにとっては、自分らしくいられる場所と感じられることもあります。
海外進学や海外生活と相性が良い
カリキュラムや使用言語が国際基準であるため、将来、
- 海外の中学・高校・大学に進学したい
- 家族で海外赴任・移住をする可能性がある
といった家庭にとっては、インターの経験が大きな強みになります。
進路の選択肢を広げたいご家庭にとっては、大きなメリットです。
インターのデメリット・注意点(あとから気づく家庭も多い)
学費が高い(長期的に大きな負担)
インターナショナルスクールの大きなハードルが学費です。学校や学年によりますが、
- 年間150〜300万円程度が一般的なレンジ
- 幼稚園から高校まで通うと、総額が数千万円規模になることも
短期的だけでなく、「6年間」「12年間」といった長期スパンでの負担をイメージしておくことが大切です。
日本語の読み書き・漢字が遅れやすい
インターでは授業の多くが英語で行われるため、日本語の読み書きや漢字に触れる時間が少なくなりがちです。その結果、
- 漢字の定着が遅れる
- 日本語での長文読解が苦手になる
- 作文や要約が難しく感じられる
といった課題が出やすくなります。
日本の学校に戻る場合や、日本語ベースの受験を考える場合は、家庭での日本語サポートがほぼ必須になります。
日本の受験制度と噛み合わないことがある
中学受験・高校受験・大学入試など、日本の受験制度は日本語の読解力と教科書ベースの知識を前提にしています。
- 中学受験の内容は、インターのカリキュラムと範囲が異なる
- 塾に通って別途対策が必要になることも多い
- インターから日本の学校に戻るタイミングで負担が増えやすい
「将来は日本の受験も視野に入れている」という場合は、インター+塾や家庭学習といった形で、学習プランを考えておく必要があります。
保護者にも英語でのやりとりが求められる場面がある
インターでは、次のような場面で保護者が英語に触れることがあります。
- 学校からのメール・お知らせ
- 個人面談・三者面談
- PTAやボランティア、行事の案内
学校によっては日本語サポートがあるものの、基本は英語というケースも多く、保護者自身の負担として感じられることもあります。
学校数・通学範囲が限られる
インターナショナルスクールは都市部に集中しているため、
- 自宅から遠く、通学時間が長くなる
- スクールバスのルートに合わせて生活が縛られる
- 進学やきょうだいの学校との兼ね合いが難しい
といった現実的な問題もあります。インターに通うために引っ越しを検討するご家庭も少なくありません。
年齢別で見る「インターの向き・不向き」
幼児〜低学年:最も英語が入りやすい時期
幼児〜低学年は、音やリズムの吸収がとても早く、英語への抵抗感もほとんどありません。そのため、この時期にインターに通うことで、
- 英語で話しかけられても怖がらない
- 発音やイントネーションが自然に身につく
といったメリットが大きくなります。
ただし、その分日本語の読み書きは家庭でしっかり支える必要があります。「日本語の絵本を毎日読む」「ひらがな・カタカナ・漢字の練習時間を作る」といった小さな積み重ねが大切です。
高学年からの転校:学習内容のハードルが上がることも
高学年からインターへ転校する場合、
- 授業内容そのものが難しくなっている
- 理科や社会の専門用語が多くなる
- 学習スピードが速く、キャッチアップに時間がかかる
と感じるお子さんもいます。
英語力だけでなく、学ぶ内容の難しさも上がるため、最初の1〜2年は負担が大きくなりがちです。
日本の学校へ戻る場合のギャップ
インターから日本の学校へ戻るときには、次のようなギャップが出ることがあります。
- 日本語の読解速度が周りより遅く感じる
- 漢字テストや計算の反復に慣れていない
- 一斉授業のスタイルに違和感を覚える
戻るタイミングや準備期間によって、負担の大きさは変わります。「いつまでインターに通うか」「戻る可能性はあるか」を、ざっくりでも家族で話しておくと安心です。
メリットを最大化できる家庭・苦労しやすい家庭
メリットを活かしやすい家庭の特徴
インターのメリットを存分に活かせるのは、次のような家庭です。
- 家庭でも日本語・英語の両方を大切にする意識がある
- 子どもの個性やペースを尊重したいと考えている
- 海外進学や海外生活も一つの選択肢として考えている
- 学費や通学に関する長期的な見通しを立てている
「英語さえできればOK」ではなく、子どもの心の成長や、家族の生活とのバランスを考えて選ぶ家庭は、インターとの相性が良いことが多いです。
思ったより苦労しやすい家庭のパターン
一方で、次のようなケースでは、後から「大変だった」と感じることもあります。
- 英語は学校に完全にお任せしたい(家庭でのフォローが難しい)
- 日本の中学受験を強く意識している
- 学費や通学の負担が、想像以上にストレスになってしまう
- 保護者自身が、学校との英語でのやりとりに強い不安を感じている
もちろん、これらの条件に当てはまっても、工夫しながらうまくやっているご家庭もたくさんあります。ただ、「インターに入れればすべて解決する」という気持ちで選ぶと、ギャップを感じやすくなってしまうかもしれません。
インターを検討する家庭向けチェックリスト
最後に、インターナショナルスクールを検討するときに、ぜひ一度考えてみてほしいポイントをリストにしました。
- 6〜12年間通った場合の総費用を、ざっくりでも把握しているか
- お子さんの性格と、インターの「主体性重視のスタイル」が合いそうか
- 日本語の読み書きを家庭でどう補っていくかイメージできるか
- 将来の進路として、国内だけでなく海外も選択肢に入るか
- 途中で日本の学校に戻す可能性があるか、その場合どんな準備が必要か
全部に完璧に答えられる必要はありません。少しずつ情報を集めながら、「わが家ならどうする?」と話し合っていくことが大事です。
メリットとデメリットを知ったうえで「わが家の最適解」を選ぶ
インターナショナルスクールには、
- 英語力が育つ
- 多様性の中で自己肯定感が育ちやすい
- 主体的に学ぶ力が身につく
- 海外進学や国際的な進路と相性が良い
といった大きなメリットがあります。
同時に、
- 学費が高く、長期的な家計への影響が大きい
- 日本語の読み書き・漢字に課題が出やすい
- 日本の受験制度とのギャップがある
- 保護者にも英語でのやりとりが求められる場面がある
といったデメリットや注意点も存在します。
大切なのは、「インターだから良い」「日本の学校だから安心」といった単純な二択ではなく、“わが家の子育て・暮らし・将来のイメージに合っているかどうか”を丁寧に考えることです。
メリットとデメリットの両方を知ったうえで選ぶことで、「インターを選んでよかった」と心から思える進路につながっていきます。迷いながらも情報を集めている、その時間もきっと、お子さんの未来を大切に思う親としての大事な一歩になっています。

