英単語の暗記といえば、日本では「単語帳」「和訳」「例文暗記」など、コツコツとした勉強が定番ですよね。
一方、フィリピンでは多くの人がネイティブに近い英語力を持っていますが、実は彼らは日本人のように単語帳で英単語を覚えているわけではありません。
この記事では、フィリピン人がどのようにして英単語を身につけているのかを、教育・文化・生活習慣の観点からわかりやすく解説します。
授業は英語が基本!「教科書=英語」が当たり前
フィリピンでは英語が公用語のひとつであり、教育の現場でも英語が非常に重要な役割を果たしています。多くの学校では、国語(フィリピン語)以外の主要科目──算数・理科・社会などの授業がすべて英語で行われるのが一般的です。
つまり、子どもたちは早い段階から「勉強するために英語を使う」環境に置かれているのです。
📚 英語の教科書で「普通に」勉強する
小学校の算数の教科書を開くと、そこにあるのは日本のような日本語ではなく、すべて英語。例えば、
- 「足し算」→ “Addition”
- 「割り算」→ “Division”
- 「三角形」→ “Triangle”
といった具合です。解説文や設問も英語で書かれているため、授業を理解するには自然と単語を覚え、読み書きの力をつける必要があります。
🧠 「英語を勉強する」ではなく「英語で学ぶ」
日本では英語は「1教科」として学びますが、フィリピンでは逆。英語は“学ぶための言語”として日常的に使われるのです。
例えば理科の授業では、先生が “Today we’re going to talk about the water cycle.” と言い、生徒もそれに対して英語で答えるのが当たり前。
授業そのものが「英会話の練習の場」となっているわけです。
🏫 公立・私立問わず広がる英語教育
都市部の私立校では特に英語教育が徹底されていますが、公立校でも英語を授業の中心に据える学校が多く、地方の学校でも早い段階から英語に触れる機会が確保されています。
さらに、英語を流暢に話せる先生が多く、学校全体の言語環境が「英語寄り」になっているのも特徴です。
英語のテレビ・映画・音楽が日常に溶け込んでいる
フィリピンでは、アメリカ文化の影響が非常に強く、英語のテレビ番組・映画・音楽が日常生活のあらゆる場面に自然に存在しています。子どもたちは学校だけでなく、家庭でも早い時期から英語の音やリズムに触れる環境で育ちます。
👶 幼少期から英語の番組を自然に視聴
フィリピンの赤ちゃんや幼稚園児、小学校低学年の子どもたちは、日本で言う「おかあさんといっしょ」やEテレのような感覚で、英語の幼児番組を毎日のように見ています。代表的な番組としては以下のようなものがあります:
- Sesame Street(セサミストリート):アルファベット・発音・日常会話・マナーなどを楽しく学べる定番番組
- Dora the Explorer(ドーラといっしょに大冒険):主人公と一緒に冒険しながら単語やフレーズを自然に覚える構成
- Blue’s Clues(ブルーズ・クルーズ):子どもが一緒に参加しながら英語の質問に答える参加型番組
- Cocomelon や Super Simple Songs:歌とアニメで幼児が自然に語彙と発音を身につけられる人気YouTubeチャンネル
これらの番組は、ほぼ吹き替えなしで英語のまま放送されるため、子どもたちは自然と英語の発音・イントネーション・リズムを耳から覚えていきます。親も英語に慣れている家庭が多く、一緒に歌ったり、セリフを真似したりする光景は珍しくありません。
🏠 家庭でも「英語で楽しむ」のが当たり前
家庭内でも、テレビやYouTube、ストリーミングサービス(NetflixやDisney+など)で英語のコンテンツを流すことは日常的です。特に都市部ではWi-Fi環境が整っているため、小さいうちからタブレットで英語の動画を見て育つ子どもも多いです。
- 親が夕食の支度中にCocomelonを流しておく
- 家族でディズニー映画を字幕付きで楽しむ
- 英語の童謡を家族全員で歌う
このような環境の中で、英単語やフレーズは「勉強」ではなく「遊び」として刷り込まれていきます。
🎶 音楽から語彙・発音を自然に吸収
さらに、フィリピン人は歌が大好きな国民性でも知られています。カラオケ(ビデオケ)は家庭にも普及しており、子どもでも英語のポップスやディズニーソングを歌えるのが当たり前。
歌を通じて自然に発音や語彙が身につき、リズム感と英語耳が同時に育ちます。
このように、フィリピンでは赤ちゃんや幼児の頃から「英語に触れる時間」が圧倒的に長く、遊びや娯楽の中で語彙や発音を自然に吸収しているのです。これは単語帳を使って1日30分勉強するスタイルとはまったく異なる、圧倒的な「環境による習得力」と言えます。+文脈」で覚える体験は、単語帳での暗記よりもずっと記憶に残りやすいのです。
毎週行われる「スペリング&単語テスト」
学校によっては、毎週英単語テスト(spelling & vocabulary test)が行われます。
特に私立校では教育の質が高く、早い段階から英単語の綴りや意味、例文の使い方までしっかり練習します。
- 20〜30語の単語リストを毎週暗記
- テストではスペル・意味・例文まで問われる
- 家では親が読み上げテストをする習慣も
日本と違うのは、音と意味とスペルをセットで覚える点。耳・目・口を使って、単語を総合的に定着させます。
✍️ フィリピンのスペリング&単語テストの実際
① 聞き取り → スペリング記入(Dictation形式)
先生が単語を読み上げ、生徒がそれを正しくスペルで書くテストです。
これはフィリピンの小学校で非常によく行われる基本的な形式で、発音とスペルの一致を自然に覚える練習になります。
📌 例:
先生:「environment」
生徒:ノートに environment と正しく書く
👉 アルファベットの発音、母音・子音の聞き分けが早い段階で身につきます。
② 単語の意味・品詞の選択問題
ある程度レベルが上がると、スペルだけでなく意味や品詞を問う小テストも加わります。
選択式・穴埋め式・簡単な英作文などが組み合わされることもあります。
📌 例:
- “environment” の意味を選びなさい
a. 食べ物 b. 環境 c. 動物
→ 正解:b - “___ is the study of living things.”
(答え:Biology)
👉 単語をただ書けるだけでなく、「使える」かどうかも重視されます。
③ 例文の暗唱・穴埋め
上位学年や私立校では、単語を使った例文を覚えてテストすることもあります。
単語単体ではなく、文脈の中で正しく使えるかを確認するためです。
📌 例:
- “We need to protect the ________ by recycling.”
(答え:environment)
あるいは、テストで先生の前で文を読み上げる「リサイテーション(暗唱)」形式もあり、発音・イントネーションも評価対象になります。
④ 毎週の“Spelling List”の宿題 → テスト
多くの学校では、毎週月曜日に「Spelling List(単語リスト)」が配られ、金曜日にテストが行われます。
1週間で20〜30語程度の単語を家庭で練習し、金曜にまとめてテストする流れです。
親が読み上げて子どもが書く“家庭ディクテーション”が一般的で、家庭でも自然に英語の音とスペルが結びつきます。
📝 テストの狙い
フィリピンのスペリング&単語テストは単なる暗記テストではなく、以下をバランスよく育てる目的で構成されています:
- 👂 リスニング力:聞き取り → スペルを書く
- ✍️ スペリング力:正確な綴り
- 💬 語彙力:意味や使い方を理解
- 🧠 文脈力:実際の文での使い方を定着
つまり、週1回のテストと日々の家庭学習を通じて、自然な英語力+語彙の正確な定着が進む仕組みになっているのです。
文脈の中で覚える!「例文学習」が基本
フィリピンでは、単語を単独で覚えるのではなく、会話や文章の中で単語を理解する学習法が主流です。
これは実際の使い方をイメージしながら覚えられるため、記憶に定着しやすい方法です。
たとえば “environment(環境)” という単語を覚えるときは:
- ✖ 「environment=環境」とだけ覚える
- 〇 “We need to protect the environment by recycling.” のように文で覚える
学校でもスピーチ・ディスカッション・発表などが多く、「使うこと」が学習の中心になっています。
SNSやネットでも英語が当たり前
フィリピンではSNSやチャットでも英語が日常的に使われます。
特に若者の間では、英語とタガログ語を混ぜた「Taglish(タングリッシュ)」がよく使われていて、自然に英単語が増えていく環境が整っています。
- FacebookやTikTokのコメント欄も英語
- 友達とのチャットで英語を混ぜる
- 英語圏のコンテンツに触れる機会が多い
学校外でも英語を使うことで、語彙がどんどん積み重なっていきます。
一目でわかる日本式とフィリピン式の比較
| 日本 | フィリピン |
|---|---|
| 単語帳・和訳中心 | 文脈・音・生活で自然に習得 |
| 授業は日本語 | 授業の多くが英語 |
| 英語は「教科」 | 英語は「生活言語」 |
| 例文暗記は一部 | 会話・発表・実践重視 |
フィリピン人の英単語習得の秘訣は、特別な勉強法ではなく、英語に触れる量と使う頻度の圧倒的な多さにあります。
単語帳で苦労する日本人にとっても、この「生活の中で英語に触れる」環境を意識することが、英単語習得のヒントになりそうですね。

