海外生活から帰国し、しばらく経った頃に「前より英語を使わなくなった気がする…」と感じる家庭は多いものです。
日本に戻ると生活の中心が日本語になり、英語を使う場面が急に少なくなってしまいます。
それでも、子どもがこれまで身につけてきた英語を無理なく自然に続けていく方法はたくさんあります。
毎日たっぷり時間を取らなくても、家庭の中で小さな習慣を積み重ねるだけで、英語力は十分に維持できます。
ここでは、帰国後の環境に合わせて、家庭でできる工夫や年齢別のアイデアをわかりやすくまとめました。
今日から始められる方法ばかりなので、ぜひお子さんに合いそうなものから取り入れてみてください。
帰国後に英語力が落ちやすい理由
日常的に「英語を使う場」が減る
海外にいたときは、学校・買い物・友だちとの会話など、生活のほとんどが英語だったはずです。ところが、日本に戻るとその環境が一気に変わり、日常生活で英語を使う機会がぐっと減ってしまいます。
言語は「知っている」だけでは保てず、実際に使う頻度が少なくなるほど、理解はあっても口からスムーズに出てこなくなります。これが、帰国後に「前ほど話せなくなった気がする」と感じる大きな理由です。
日本語環境に完全に戻ることで“使わない言語”になる
日本の学校では授業も連絡も友だちとの会話も、すべて日本語が基本です。子どもにとっては自然な流れとして、日本語だけで生活が完結してしまい、英語が「わざわざ使うもの」に変わってしまいます。
頭の中では理解できていても、普段使わなくなることで英語が少しずつ後ろに下がり、「理解はしているけれど、前ほど話せない」という状態になりやすくなります。
学校の英語レベルとギャップが生まれる
帰国後に通い始めた学校の英語授業が、とても簡単に感じられるケースも多いです。海外で身につけてきた英語力に対して、学校の授業が「物足りない」と感じてしまうこともあります。
その一方で、日本の学校は英語以外の教科や行事も多く、「英語のためだけに使えるエネルギー」はどうしても限られてきます。こうして環境と時間のバランスが変わることで、英語と距離ができてしまうのです。
帰国子女が英語を維持するために必要な3つの考え方
「量より継続」を意識する
英語力を維持するうえで大切なのは、長時間の勉強ではなく、短い時間でも途切れず続けることです。1日2時間を週1回よりも、1日10分を毎日続けるほうが、言語の感覚は保ちやすくなります。
海外にいたときと同じ量を確保しようとすると、どうしても負担が大きくなってしまいます。帰国後は「がんばりすぎない継続」を目指すほうが、長い目で見てうまくいきやすいです。
「話す・聞く・読む・書く」をバランスよく保つ
帰国後は「聞く」と「読む」ばかりに偏り、「話す・書く」が減ってしまうご家庭が多く見られます。すると、理解力はあるのに、表現する力が少しずつ落ちていきます。
家庭でできる範囲で構いませんので、
- 聞く:英語の動画やオーディオを流す時間を作る
- 読む:英語の本や多読教材を日常的に手に取れる場所に置く
- 話す:簡単な会話や感情表現だけ英語にする
- 書く:1日1行の日記やメモを書く
といった形で、4技能すべてに少しずつ触れられるよう意識してみましょう。
子どもに“無理のない英語との距離感”をつくる
帰国後に英語を続けようとするとき、一番避けたいのは、子どもが「また英語の勉強?」と感じてしまう状況です。英語がプレッシャーの対象になると、どうしても距離を置きたくなってしまいます。
大切なのは、英語を「勉強」だけでなく、
- 家族の会話の一部として使う
- 好きな本や動画を楽しむための道具として使う
- 海外の友だちとつながる手段として使う
といったように、生活の中に自然に溶け込ませることです。子どものペースや気持ちを尊重しながら、無理のない距離感をつくってあげましょう。
家庭でできる英語力維持の方法(年齢問わず)
家庭内で英語を“自然に使う”環境をつくる
家庭の中で、ほんの少しだけ英語が顔を出すように工夫すると、英語は「特別なもの」から「少し身近な存在」に変わります。
- 「お腹すいた」「眠い」など、感情や状態だけ英語で言ってみる
- 夕食のときに「今日一番楽しかったこと」を英語で一言だけ話してもらう
- 兄弟同士で簡単なやりとりだけ英語にしてみる
全部を英語にする必要はありません。日本語が中心だけれど、ところどころ英語が混ざるくらいの感覚で取り入れてみると続けやすいです。
英語に触れる時間をルーティン化する
英語に触れる時間は、「気が向いたら」ではなく、生活のどこかに固定すると習慣化しやすくなります。
- 寝る前の10分は英語の読み聞かせタイムにする
- 朝食のあとの5分間だけ英語動画を見る
- 週末の午前中を「英語の本・英語の遊びの日」にする
無理のない長さで構いませんので、「この時間は英語」と決めておくと、日常に自然と英語が定着していきます。
日本語と英語のバランスを崩さないコツ
帰国直後は、日本語での学習や友だちとの関係づくりも大切な時期です。英語だけに力を入れ過ぎると、子どもが疲れてしまうこともあります。
英語維持を意識しつつ、
- 学校の宿題や日本語の本を読む時間もきちんと確保する
- 英語の時間を増やしすぎず、生活全体のバランスを優先する
- 「日本語も英語も、どちらも大事だよ」と親が伝える
といった形で、両方の言語を大切にするスタンスを子どもと共有しておくと安心です。
小学生向けの家庭でできる実践アイデア
英語での独り言・感情表現を促す
小学生になると、自分の気持ちや考えを言葉にする場面が増えます。このタイミングで、「ちょっとしたひと言」を英語にしてみると、アウトプットの感覚を保ちやすくなります。
- I’m hungry.(お腹すいた)
- I’m tired.(つかれた)
- That was fun!(楽しかった!)
無理に英語だけを求めるのではなく、親が「今の英語で言ったらどうなるかな?」と提案してみる程度でも十分です。
英語読書習慣をつくる(レベル別)
帰国子女の英語力維持で大きな味方になるのが、多読・英語の読書習慣です。
- やさしめのリーダー(Oxford / Step into Reading など)
- 子どもの興味に合った物語やノンフィクション
- シリーズものの本(続きが気になるタイプのもの)
「毎日◯ページ」というよりは、いつでも手に取れる場所に置いておき、読みたくなったら読める環境をつくることがポイントです。
英語で学べる動画・アプリを活用する
理科・社会・歴史などの内容を英語で扱う動画やアプリは、楽しいインプット源になります。単なるアニメだけでなく、学びの要素があるコンテンツを選ぶと、帰国後の刺激にもなります。
視聴時間はルールを決めつつ、「英語だからこそ楽しい時間」として位置づけてあげると、英語へのポジティブな気持ちが続きやすくなります。
英語日記やショートスピーチに挑戦する
アウトプットを増やしたいときは、1日1行の英語日記から始めるのがおすすめです。
- Today I played soccer.
- I was happy because I met my friend.
慣れてきたら、週に1回「家族の前で1分スピーチ」をしてみるのも良い練習になります。内容はその週にあった出来事や、好きな本・ゲームの話など、なんでもOKです。
未就学児向けの楽しく身につく習慣づくり
英語の絵本読み聞かせ
未就学児の英語維持には、絵本の読み聞かせがとても効果的です。親が英語に自信がなくても、音源付きの絵本やデジタルブックを使えば、負担を少なく続けられます。
「寝る前の1冊は英語の絵本」と決めておくと、英語の世界にふっと戻る時間をつくることができます。
英語フレーズの生活導入
短くて使いやすいフレーズなら、日常の中でもどんどん取り入れられます。
- Let’s go!(行こう!)
- Time to clean up.(お片づけの時間だよ)
- Good job!(よくできたね)
同じ状況でいつも同じフレーズを使うことで、子どもは意味を感覚的に覚えていきます。
音楽・アニメ・遊びを英語にする
歌やダンス、体を動かす遊びは、幼児が大好きな活動です。英語の歌やリズム遊びを取り入れることで、「英語=楽しい」というイメージを保つことができます。
アニメや動画も、たまには英語音声のまま見てみると、自然な音のインプットになります。
外部サービスの活用(家庭学習と相性の良いタイプ)
オンライン英会話(週1〜2回でも効果的)
帰国後に一番困りやすいのが、「英語で話す相手がいない」ことです。オンライン英会話は、この部分を手軽に補ってくれるサービスです。
週1〜2回、20〜25分程度でも、
- 英語で話す感覚を忘れない
- 褒められる経験が自信になる
- 海外の先生と話す楽しさを思い出す
といったメリットがあります。負担にならない範囲で続けてみると、アウトプットの維持に大きく役立ちます。
英語アフタースクール
通える範囲に英語アフタースクールがある場合は、帰国子女を受け入れているかどうかを確認してみるのも一つの方法です。日本の学校に通いながら、放課後だけ英語環境に身を置くことができます。
英語だけでなく、外国人の先生や多様な友だちと関わる時間にもなるため、海外生活の感覚を少し取り戻すような役割も期待できます。
英語キャンプ・季節ごとの短期プログラム
夏休みや冬休みに行われる英語キャンプや短期プログラムは、英語へのモチベーションを再び高めるきっかけになりやすいです。
普段は家庭でゆるやかに英語を続けつつ、長期休みに集中的な英語環境に入ることで、「英語を使う自分」を思い出しやすくなります。
維持だけでなく“伸ばす”ために大切なこと
得意なスキルを伸ばす
帰国子女とひと口に言っても、
- 聞き取りが得意な子
- 読むのが速い子
- 話すのが好きな子
- 書くことに抵抗がない子
など、それぞれ得意な分野が違います。維持だけでなく「伸ばす」ことも意識したい場合は、弱点を補うよりも得意なスキルをさらに伸ばすほうが、子どもの自信につながりやすいです。
目標設定(英検・多読・会話力など)
小さな目標があると、英語を続ける意味が子ども自身にも分かりやすくなります。
- 英検や他の検定にチャレンジしてみる
- 1年間で◯冊の英語の本を読む
- 自分の好きなテーマを英語で話せるようになる
目標はあくまで「道しるべ」です。プレッシャーにならないよう、達成しやすい小さなステップから始めることが大切です。
英語が「好き」でい続ける工夫
最後に一番大事なのは、子どもが英語を「好き」「楽しい」と感じ続けられることです。英語が得意・不得意よりも、英語に対して前向きな気持ちを持てるかどうかが、長期的な維持には大きく影響します。
親が英語力そのものだけに注目するのではなく、
- 英語を使って楽しんでいる姿をたくさん褒める
- できないところより、できているところを一緒に喜ぶ
- 子どもの「英語でやりたいこと」を尊重する
といった関わりを意識してみると、「英語は自分の味方」という感覚が子どもに残りやすくなります。
家庭でできる“小さな習慣”が英語力を守ってくれる
帰国子女が帰国後に英語力を維持するには、特別な教材や長時間の勉強が必要なわけではありません。毎日の生活の中で、
- 少しだけ英語を使う場面をつくること
- 短い時間でも継続すること
- 子どもの気持ちを大事にしながら、無理のない距離感を保つこと
といった小さな習慣を積み重ねていくことが、一番の土台になります。
海外で育んできた英語は、子どもにとって大切な財産です。完璧を目指さなくても大丈夫なので、できそうなことから少しずつ取り入れていき、親子で英語との新しい付き合い方を見つけていってください。
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